神様、この恋をよろしくお願いします。
Wish2.シャチと願いごと
あたしの手を引いた相沢くんの後姿、キラキラ光る髪の色が丘の上で見た夜景よりキレイだった。


ずっとあたしの瞳に焼き付いて離れない。


目を閉じても、開いても。


なぜだかドキドキして全然眠れなくて、明日一番に相沢くんに会えたらいいのにって思ってた。


どうしてそんな風に思ったのかな、それは考えても上手く答えが出せなくて。


相沢くんのこと、あたし…




「おはよう!」

そんなこと思っていたら、校門の前で眠そうな相沢くんに会った。本当に朝からちゃんと来てるんだ。

「………はよ」

めっちゃくちゃ小さい声だったけど、一応“おはよう”が返って来た。

「昨日ありがとう、お母さんには…ちょっと怒られたけど大丈夫だった!」

「へぇ、よかったな」

スタスタと歩いていく相沢くんの隣に並んで、一緒に学校の中へ入って行こう…と思ったんだけど。

「え!?どこ行くの!?」

「は?」

「は?じゃなくて、下駄箱こっちだよ!」

あたしが指さしたのは下駄箱が置いてある玄関の方、だけど相沢くんは玄関を通りすぎようとしていた。
しかもあたりまえのように、あたしが“こっちだよ!”って言った方が間違いみたいな。

「………。」

「…え!?それどんな顔!?」

眉にしわを寄せて、めんどくさそうにあたしを見てた。

「…、今日眠いんだよな」

「夜遅くまで外にいるからでしょ!」

「せっかく寝てから行こうと思ってたのに」

方向転換をした相沢くんがふわぁ~とあくびしながら玄関に入って行った。
そのあとを追いかけて下駄箱に向かった。

「ねぇ相沢くん」

「ん?」

「相沢くんっていつも学校に来て何してるの?」

毎日学校には来てるって言ってた。

今日だってちゃんと朝から来てる。

だけど全然教室には来なくて、どこで何してるのかずっと気になってた。

こないだは体育館裏で、別に何もしてないって言ってたけど…
そんなわけないでしょ?
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