神様、この恋をよろしくお願いします。
あれから相沢くんは相変わらずマイペースで、教室に来たり来てなかったり。

担任のいっちゃんもたじたじって感じだった。

いっちゃんは優しいからきっと強くは言えないんだろうなぁ。そこがいっちゃんのいいところだけどちょっとだけ頼りないよね。

「さぁ、水族館に着きました!」

そう、そして今日は遠足なの!

バスに揺られて、ちょっとだけ遠い水族館まで。
隣に座るナナと何を見ようか話しながら、久しぶりの水族館を楽しみにしてた。
やっと到着したバスの中で、いっちゃんが館内マップと周辺地図を配ってくれる。

「まずは水族館公園の散策です。今から1時間半くらいかな~、海の方行ったり橋を渡って小島の方へも行っていいからね!」

海の近くにある水族館は周りがお散歩コースになっていて、ハイキングも楽しめるようになっていた。橋を渡れば、小さな無人島があってそこには神社があるらしい。

「12時になったら自然公園でそれぞれお弁当を食べてね、その後水族館に入って行きます」

1日のスケジュールがザッと発表されたけど、思ってたよりぎっしりしていた。

海も見に行きたいし、神社でお願いごともしたいし、ペンギンだってラッコだって見たい。

わ!すごいワクワクして来た!

「ねぇナナ何から行く!?」

「えー、やっぱ海は必須だよね~」

「わかる~!」

周辺地図を握りしめてバスを降りた。

じゃあ海の方へ行こうか!と歩き出そうとして、もうひとつひそかにワクワクしていたことがある。

バスの一番後ろの席、ずっと寝ていたけど。

「相沢くん!」

行かないって言ってたのに、今日は来てた。
降りて来たところについ話しかけちゃって。

「来たんだね、遠足!」

「あぁ、まぁ」

「実は水族館来たかったの?」

「全然そうじゃねぇけど、来いって言われたから」

「え、誰っ」

答えを聞こうとして、ナナに呼ばれた。
早く行くよって言われて、その答えが聞けなかった。

誰に言われて来たのかな?

いっちゃん?

本郷先生?

それとも誰か、違う人―…?
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