神様、この恋をよろしくお願いします。
海岸沿いより風が強くて、上には海鳥が飛んでいる。

短いような長いような400メートルを渡ると、今度は神社へ続く階段を一段一段上った。

「案外…距離あるね」

「うん、思ってたより先見えないね…」

「あっちゃんこれを教えてほしかったよね」

「私のことなんかよりね」

それも大事だけど!って心の中で思ったけど、黙っておいた。

ナナはあんまり言われるのが好きじゃないから、キッカケの…手助けぐらいはしてあげたいと思ってるけど今のところその出番もないしね。

時間を気にしながらせっせと階段を上った。

12時には戻らないと、お弁当タイム終わっちゃうから。

あと少し、もう少しで上り終える。

残り10段をカウントダウンのように数えて、あと一歩…!



「「終わった~!」」



最後はナナと声が揃った。それでつい笑っちゃったら、結構元気だった。

「目の前に鳥居あるじゃん!」

「ほんとだ!てゆーか逆に神社しかない!」

「私たちは神社のために登って来たんだからむしろありがたい!」

あと登れた達成感で、なんちゃーらハイ的なあれだった。
ケラケラ笑って、息を整えて、さっそく鳥居をくぐった。

神社の参拝の仕方は”二礼二拍手一礼”っていっちゃんがくれた周辺地図の豆知識に書いてあった。

その通りにお参りをして、手を合わせた。


………あ、しまった!

何願うか考えてなかった!
登ることに必死で大事なお願いごと考えるの忘れてた!

えっと、何、何にしよう?

あぁぁ、こうしてる間に時間が過ぎていくっ ただ手を合わせて御託を並べてるのが神様に伝わっちゃう!

えーっと、えーっと、じゃあっ!



ゴホンッ



神様、ナナの恋を叶えてあげてください。
どうかよろしくお願いします。
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