神様、この恋をよろしくお願いします。
「ナナ…」

聞きたくないのは聞いたら、うんって答えるしかないからじゃない?

好きな人にジンクス試そうって言われたら、嬉しくなはずないよね。

たぶん嬉しいんだよ。

でもナナは、素直になれないだけだよね?

じゃあ、あたしにできることって手助けすることでしょ!

ナナに掴まれていない逆の手で、天貴くんの腕を掴んだ。

思いっきりグイっと引っ張って、橋の上に2人が乗るように。


「「!?」」


「一緒に渡ればいいと思う!」

「え、小夏!?」

「だってほら!もう2人で乗っちゃってるもん!もう引き返せないよ、神様見てると思う!」

だいぶ強引だったけどまだ橋の上にいないあたしはギリギリセーフ、だから“ねっ!”って笑って見せた。

「…小夏」

「ナナ、聞いてもらいなよ!」

天貴くんがナナの方を見た。

2人が目を合わせる。

あたしの方が無駄にドキドキしちゃって、落ち着かなかった。

「七瀬、一緒に橋渡らない?」

「…うん、いいよ」

可愛い、ナナが可愛い!

赤くなった頬が可愛くてしょうがない!

「あ、でも小夏も一緒に行こうよ!」

「え、あたしはいいよ!てゆーか邪魔でしょ!」

「邪魔じゃないよ!」

「いや、絶対邪魔…っ」

いい感じの2人を間に入ってしまったら、あとちょっとの関係がまた振り出しに戻っちゃう。
それはさすがに気が引ける…

「あ、あのね!実はね、あたしも一緒に橋を渡りたい人がいるの!」

咄嗟に出た嘘だけど。

「え、そうなの!?」

これが一番いい言い訳かなって思ったから。

「だからその人誘おうかなって思うから、ナナは気にしないで天貴くんと行って!」

無理矢理にばいばいをしてその場を離れた。

そうしたらナナも安心して橋を渡れると思うから。

2人がうまくいくといいなぁ、きっとうまくいく。

神様のフッ軽な行動力にはビックリだけど。
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