神様、この恋をよろしくお願いします。
引き裂く様に委員長の腕を離させ、委員長を庇うように両手を広げ相沢くんの方を見た。

「それはよくないよ!か、カツアゲ?みたいなあれはよくないよ!委員長めちゃくちゃいい人なんだから!!」

あたしより背の高い相沢くんを見上げ、目力いっぱい訴えるように。
ダメなことはダメってちゃんと言わなきゃ。

「……。」

相沢くんはわけが分からなくて納得がいかない様子であたしを見てたけど。

なぜ?なぜあたしがそんな風に見られてるの?

「宝条さん、宝条さん」

あたしの後ろにいた委員長がトントンッと肩を叩いた。

「それ勘違いだから」

「え?」

「あ、悠が悪いとは思うよ?勘違いさせるような格好してるからね」

「ふざけんなよ、お前っ」

「どう見てもこの状況俺がいじめられてるみたいだよ」

「いじめてねぇわ!」

あれ、なにこれ…?

あたしを挟んで2人が会話してる。
してるんだけど、全然緊迫感ないむしろ仲良さそう…

「悠にお弁当渡してただけだから」

委員長があたしに向かってにこりと微笑んだ。

「て言っても、脅されてとかじゃないよ。うちの母親が悠の分も作ったからそれを渡してただけ」

チラッと相沢くんの方を見るとはぁっと息を吐いて、すごく迷惑そうな表情をしていた。

それってどっち?あたしにしてる顔!?

「せっかく作ってくれたのにいらないって言うから」

「いらねぇよ」

「どうせ持ってきてないでしょ?」

へぇ、そうなんだ…

委員長のお母さんが相沢くんのお弁当を?でもどうして?わざわざ相沢くんの分までって。

「つーかこれも来るつもりなかったけど、お前が来いって言うから来ただけで!」

「言わなきゃ来ないでしょ。これも学校行事なんだから参加は当たり前だよ」

“来いって言われたから”

「委員長に言われて遠足来たの!?」 

そーいえば誰に言われたんだろうって思ってたけど、てゆーか…

「2人ってどんな関係なのっ!?」

全然繋がらない2人の会話に一番に思ってたことが口に出ちゃった。

「「………。」」

急に黙って顔を合わせた相沢くんと委員長。

あれ?なんか聞いちゃいけなかった…?

「そっか、そうだよね。知らないよね」

「え…」

「俺と悠、幼なじみなんだ」

「えーーーーーーーっ!?」

山の中ってやまびこってあるんだっけ?ってくらい声が山中に響いた。

あたしの渾身の“えーーーーーーーっ!?”が。
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