神様、この恋をよろしくお願いします。
いただきます、と手を合わせてお弁当を食べ始める。

今日は遠足だからってお母さんが食べやすいように作ってくれたサンドウィッチ。

手を拭いてたまごサンドを手に取った。

「悠、お茶いる?」

「あぁ」

「おしぼりもあるから」

「うん」

………。

食べようと思ったんだけど、2人の姿を見ていると幼なじみっていうか委員長が相沢くんのお母さんみたいなことが気になって。
相沢くんと委員長のお弁当は外も中も同じで、幼なじみっていうより家族みたい。

「海の方って行った?」

「あー、軽く」

「一緒に行こうと思ってたのに気付いたらいなかったから」

「委員長の仕事でなんかしてたから、待ってるのあれだし」

「待っててくれたらいいのに」

でも本当に仲良しなんだろうなぁ。 
相沢くんがおにぎり食べながらツンケンしないで話してる。

「健太といるとせんせーがうるさいからな」

本当に仲良しなんだ…っ!!!

急な名前呼びにドキンってあたしの胸が鳴っちゃって。

委員長のこと、名前で呼ぶほど仲良しなんだ。クラスのほとんどが委員長呼びなのに。

「悠がうるさく言われるようなことしかしないから」

「何もしなくてもうるさいだろ」

全然たまごサンドが進まないな。
あたしは一言も喋ってないのに、2人の話を聞くのに夢中で口が動かない。

「先生もなんでわからないんだろうね、悠はどこにいてもわかりやすいのに」

その口調は委員長も知ってるみたいだった。

相沢くんがいつもどこで何をしてるのか。

「なんだよそれ」

「悠は目立つから」

「そんなつもりねぇよ」

そんなつもりしかないと思うけど…

相沢くんからしたらそうでもないのかな。
その青い瞳にキラキラの髪の毛は、それでそんなつもりないってよく言える。 

「…じゃあやめたらいいのに」

ハッとした。

つい声に出しちゃってたみたい。

「「………。」」

あんなにもごもごしていたたまごサンドは気付けば胃の中で、思ったことをつい口走っちゃった。
 
やばい、変なこと言ったかも!

絶対言っちゃいけなかったやつだよ!
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