神様、この恋をよろしくお願いします。
胸ぐら掴まれるかも、大声で怒鳴られるかも、そう思ったら急に怖くなってぎゅっと目をつぶっちゃった。

だけど、実際はそんなことなくて委員長のほらねと言わんばかりの呆れたような声が返って来た。

「宝条さんも勘違いしてるよ」

それは思ってた反応と違って、おそるおそる目を開けると相沢くんは目を細めてうっとおしそうに眉毛にしわを寄せていた。めちゃくちゃウンザリした顔してる。

「え!?どーゆうこと?」

なんとなく相沢くんには聞けなくて委員長に向かって話しかけた。

宝条さん“も”勘違いしてるよってどーゆう意味!?

「それはね」

委員長が話し出した時、はーあと相沢くんが大きく息を吐いた。委員長から教えてもらおうと思ってたけど、飽き飽きした声で相沢くんが答えた。

「やめるも何も元からこうだっつーの」

最後はちょっと力が入ってた。
すごく嫌な質問だったんだなって思った。

けどっ

「え、何言ってるの?」

疑問が疑問を呼んで、頭に浮かんだクエスチョンマークそのまま返しちゃった。

「だからぁっ」

やば、今度こそやばい!
  
キリってさらに眉毛が吊り上がった。

「生まれた時から青い目だし生まれた時からその髪色なんだよね、悠は」 

すかさず委員長が答えた。

「……え」

絶大な信頼を得てる委員長の言葉はすんなりと頭の中に入って来る。

たぶんこれが人望ってやつ。

「だから直せって言われたら逆にカラコンすることになるし髪染めることになるよね」

「…そうなの?」

ゆっくり相沢くんの方を見た。

その表情からは不機嫌さが伝わって来る。

「………そうだけど」

「そう、なんだ…」

「あぁ」

「へぇ、そう…」

「そうだってば!」

ハッキリしないあたしにぐいっと近付いた。

その青い瞳を見せてくれるように。

「!」

その瞬間、ドキッて鳴って。

わかんないけど、一瞬胸が苦しくなった。


あれ、やばい。


なんか変な気がする。


相沢くんの青い瞳にあたしが映ってる。


「わかったろ?」

「あ、うん!ほんとだ!カラコンじゃなかった!!」

スッと離れて行く、あたしの胸はまだドキドキ言っていた。

こんなの初めてだから、男の子とこんなに近付いたの。

だからビックリしちゃったんだよ。


たぶんそうだよ、ね?
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