神様、この恋をよろしくお願いします。
「小夏、私…てっ天貴と付き合う事になったから」

朝イチ、学校に来るとナナが照れくさそうに教えてくれた。
ナナらしくなくモジモして、それを見てまた嬉しくなった。

「よかったね、ナナ!」

だからこの喜びを伝えたくてナナに飛びついてぎゅっと抱きしめた。

「…っ、あ、ありがとう」

その声もいつものナナじゃないみたいだったけど、いつもより柔らかい声をしていたから。

「天貴くんも嬉しいよね、やっと想いが通じたんだもんね」

「そう、そうかな?」

「そうだよ!嬉しいに決まってるよ!」

そうかな、ってはにかんで笑うナナはやっぱりいつものナナとは違ったけどすごく可愛くてそこからナナの想いも伝わって来た。

あたしも嬉しい、ナナが嬉しそうで嬉しい。

「あ、そうだ小夏」

「ん?」

「小夏はどうだったの?」

「え、何が?」

そーいえばそんなことすっかり忘れてたんだけど、てゆーかあれは嘘だったわけだし、改めて聞かれるなんて思ってなかったから。

「一緒に橋渡れたの?好きな人と!」

「………え?」


一 緒 に 橋 渡 れ た の?


好 き な 人 と!


あーーーっ!!


ナナに言ったんだった!!!


あの場から身を消すためのテキトーないいわけを!


「え、あ、あれはねっ」

わ、渡ったと言えば渡ったけどっ
だけどあれは後付けっていうか、あの時はまだ好きだなんて思ってなかったし…っ

「小夏の好きな人って誰なの?」

今ならその答えが言えるんだけど。

「えーっと…」

だけどなんとなく言えない。

「誰?同じクラス?」

「うん、あの…っ」

言ったらナナが何て言うか、想像出来ちゃったから。

「さぁ、みんな席着いて~!朝の会始めるよ~!」

ちょうどベストなタイミングでいっちゃんが教室に入って来た。
だからこの場はなんとか切り抜けられて、ちょっと安心しちゃった。

はぁーっと長めの息を吐いてあたしも席に座った。

悠の席を見れば、今日も悠の姿はなかったけど。
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