神様、この恋をよろしくお願いします。
いつになく機嫌が悪い本郷先生の授業はいつもより当てられる人が多くて、間違えると怒ったように指摘された。

今日は当たりませんように…!

心の中で手を合わせて必死に祈った。

「じゃあ、次」

お願い、神様!当たれませんように…!

「相沢」

セーーーーフ!

だけど、相沢くん指名する本郷先生も本郷先生すごいメンタル。

「………。」

やっぱり無視されてたけど。
今はイヤホン外したはずなのに全然聞いてる風に見えない。

「相沢!聞いてるのか!」

「あ、聞いてないっす」

えーーーーーっ

それ言っちゃうんだ!

嘘でも聞いてたって言いなよ!

だってこのあと…っ

「お前は学校をなんだと思ってる!!!」

ドーンッと教室が揺れるぐらい大きな声が、響くどころか突き抜けた。

「そうやってお前みたいな生徒がいるから…!」

ガタンッ、と本郷先生の話を遮るように相沢くんが立ち上がった。

やばい、何か始まる…!

と思っていると、教科書をリュックに戻した。

「じゃあ、帰ります」

え、帰…るのっ!?

今来たばっかなのに!?

本郷先生の荒げる声も一切聞かず、スタスタと教室から出て行った。

相沢くんの教室滞在時間、約15…12分。

何あれ、何なの…っ

……。

…。


前言撤回、やっぱり知らない方がいいことってあると思います。

知ったからってどうなるわけでもないし、関わらない方がいいことだってある。

相沢くんとは同じクラス、それだけの関係性。

きっとこれからも、この先も、あたしの学校生活は楽しくいきたいから。
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