神様、この恋をよろしくお願いします。
3時間目からは悠もあたしも授業を受けた。
斜め遠くの席からたまに悠の方を見ると教科書を開いて、先生の指示通り1ページ1ページめくっていた。

本当に授業聞いてるのかな?


本当どこにいても悠のキラキラの髪は目立って、すぐにわかっちゃう。


でもきっとあたしの瞳にキラキラ映ってるのはそれが理由じゃないよ。


左手の文字にドキドキしてるよ。


1日が終わるチャイムが鳴ればあとは帰るだけ、サッと帰る支度をして悠の前まで駆け寄った。

「一緒に帰ろっ」

ざわっと教室がどよめいた。

「え?」

みんながあたしに注目するからつい声が出ちゃった。なのに誰も目は合わせてくれなくて、ざわざわと見てないフリをしながら近くの子と何か話してる。何を話してるかは聞こえないけど、それは全然いい気がしない話し方で…

あ、そっか!クラスの子たちからしたら恐れられてる存在の悠に一緒に帰ろって誘ったからだ!

「……。」

この状況に悠も気付いてる。

だから何も答えてくれないの?あたしどうすればいい!?

「帰ろうか」

この一言でまたクラスの雰囲気が変わる。

「委員長…!」

救世主様…!

誰にでも優しい、誰にでも話しかけてくれる、誰にも忖度しない委員長の言葉は重みが違う。

「一緒に帰るって言ってたもんね」

委員長がそう言えば、さっきまで偏見の目で見ていたみんなの視線は元通り、友達がいない悠に話しかけてあげた委員長といういい人レベルがまた上がった。

てゆーか本当に2人は友達なんだけど!

あたしはそのオマケって感じで、それもちょっと気に入らないし!

…でも、いいや。
これでなんとなく一緒に帰る流れはできたし。

「じゃあ、悠、宝条さんばいばい!」

「え?」

校門から出ると委員長があたしたちに手を振った。

「一緒に帰らないの?」

「俺はいいよ。宝条さん、悠のことよろしくね」

え、それはどーゆう意味?
何をよろしくされたの!?

ちょっとだけ頬が熱くなった。

「変なとこ寄り道しないように見張ってやってよね」

「お母さんかお前は」

そのよろしくなのね!?

まぁ、確かに…あぶなっかしいとこはあるし?

「あ、うん、わかった!」

「お前もわかってんじゃねぇよ!」

相変わらず眉を中心に寄せた悠に委員長がくすくす笑ったりして、それにあたしはドキドキしてた。

「じゃあ、また明日ね!」

大きく手を振って駆けていく委員長はやっぱりいい人レベル最上級だなぁ。
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