神様、この恋をよろしくお願いします。
悠と2人で歩く帰り道、隣に並んで。

今なら聞けるかな?

「悠っ」

「ん」

「あの…っ」

あたしたち付き合ってるの?って…

「もうすぐテストだね!」

「へぇ、そーだっけ?」

聞けなかった…
名前を呼んだらこっちを見たから。

目が合っちゃったら、ドキッてなってそんなの聞けなかった。

だって付き合ってたら、手ぐらい繋ぐかなって思っちゃったんだもん。

だらっと下に伸ばした左手を、それとなく掴んでくれたりしないかな?ってちょっとだけ期待しちゃった。

…でも、一緒に帰れるのも嬉しいもん。

「…悠の家ってどこ?こっちでいいの?」

「あぁ、あの角曲がる」

「そっか、あたしこのまま真っ直ぐなの」

案外早いばいばいかも。

…委員長に変なとこ寄り道しないようにって言われたし。

あ、でも変なとこじゃなきゃいいのかな?公園とか!図書館とか!

今日は塾もないし、少しだけなら…

もうすぐ角を曲がる。
曲がったら言おうと思った。 


「悠!」


ちなみコレはあたしの声ではない。

角を曲がったらあたしより先に別の声が飛んできた。

「久しぶり~!元気してた~??」

えっ!?誰!!??

曲がったところ、建物の壁にもたれながらスマホをいじる女の人がこっちを見るや否や近寄って来た。

大きな口を開けて、手を振って、軽い足取りでこっちに向かってくる。

悠の名前を呼びながら。

いや、誰なのつ!?


真菜(まな)


マナ!?

マナって言うんだ!?

動揺するあたしの隣で、全く気にしない様子の悠が答えていた。

2人が知り合いっていうのはすぐわかった。

だってその姿はどこか見覚えのある、青い瞳にキラキラの髪色をしてふわふわとなびかせていたから。
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