神様、この恋をよろしくお願いします。
「全然よくなさそうじゃん」

うだうだと不満を言うあたしにナナが一蹴りした。
バッサリハッキリ思いっきり、頬杖を付きながら窓の外を見て。

「………。」

その通り過ぎて、これは完全に呆れられている。教室の前の廊下で妙に絵になるポーズをしている。

「…ナナ~!見捨てないで、やっぱ見捨てないで!ナナにまで捨てられたらあたしっ」

「はいはいはい、わかったから!」

あれだけやめとけって言われたけど、懲りないあたしにナナが折れつつあった。

そりゃ毎日ね、悠に遊んでもらえないんだよねってうだうだ言ってたらね、隣で聞いてるだけでもお腹いっぱいになるよね。
気付けばもうすぐだねって言っていたテストだって終わっていた。

「遊んでもらえないって、それこそ他に女いるんじゃないの!?って私は思うけどねっ」

「それが理由じゃないから、それは大丈夫だよ!」

ナナに真菜さんのことは言えてない。あたしが勝手に喋っていい話じゃないと思うし。

だからちょっとだけこじれちゃってるんだけど。

「結局付き合ってるかも確認できてないんでしょ?」

「それも…ない」

「じゃあやめときなよとしか言えないけど」

「……。」

もうあたしにその選択肢はないの。

そう言われたって、できないんだもん。

「だけどさ…」

「ん…?」

ナナが視線を逸らした。

その方向を同じように見た。

「はよ」

「悠!おはよう!」

もうすぐ朝のホームルームが始まる時間、悠がやって来た。

「今日も朝から授業受けるんだねっ」

「小夏が会いに来てって言ったから」

ぼんっとあたしの顔が熱くなる。

悠は全く表情を変えないのに。

教室に入って行く悠の後姿を見ながら必死に両手で頬を覆った。

「あーゆうとこは相沢変わったのかなって思うけどね」

ナナが息を吐きながら納得いかない顔で言った。

「………。」

「でもやめときなよとは思ってるから!」

「わ、わかってますっ」

全然わかってはないけど、もう口癖みたいだった。
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