神様、この恋をよろしくお願いします。
それ以上は教えてくれなかった。

そこから先は悠本人に聞いてって。

本人も教えてくれそうにはないと思うけど。

委員長と話してたらすっかり遅くなっちゃったな。

雨の日はいつもより空が暗くなるし、時間もわかりずらくなっちゃうから。

変わりなく音を立てて降り続いてる雨の中、下駄箱の隣に置いてある傘立てから自分の傘を持った。

朝も雨だったからその水滴がまだ少し残っていたけど関係なしに傘をさした。

玄関を出ようと一歩外に出る。

…めっちゃ雨すごいな。

委員長と話してる間もちっとも弱くならなかったし、ここで待っててもおんなじかなー

「…しょうがない、帰ろう」

少し考えてみたけど、待ってても変わらないなら早く帰った方がマシかと思ってよしっと顔を引き締めた。

落とさないようにと傘を握り直して雨の中立ち向かう。

一歩外の出ればバンバンと傘に雨が当たる。

音がすごい…

なるべく体を小さくして傘からはみ出ないように歩いた。

あんまり変わらなかったけど。

これだけ降ってたらいくら傘を持ってたって、足元はびちゃびちゃだし。

上半身が濡れないだけいっか。

1人で歩く帰り道は長く、しかも雨というオプションがよりうっとおしさを強調させる。

雨のこと嫌いになりそうだよ。

晴れてくれたら、まだ少しは?希望が持てるのに。

そんなことを思いながらトボトボと歩いた。

雨の強さに前も向けなくて足元を見ながら一歩一歩、小さな歩幅で…

だけど一ヶ所だけ地面に落ちる雨の跳ね方が違うところがあった。

気になって顔を上げた。

ゴクンッと息をのんだ、一瞬息をするのも忘れちゃうぐらいに。



どうして?



「悠…っ」
< 86 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop