神様、この恋をよろしくお願いします。
「何してるの!?」

ザーザーと音が立つ中で、ぽつんと1人。

傘もささず、頭の上から足の先まで全身が雨で濡れている。

「風邪引くよ!!」

すぐに駆け寄って俯く悠の頭の上に持っていた傘を傾けた。

ポタポタと落ちる雫は雨のせいなのか、それとも悠自身のものなのか、ひどい雨のせいでわからなかった。

「…何があったの?」

「別に」

「そんなわけないでしょ!こんな土砂降りの日に傘も持たないでっ、何してるの!?」

「……。」

ずっと俯いたままだった悠が顔を上げた。

その表情は不思議と笑っていた。

でもあたしが見たい笑顔じゃなかった。

「…結局彼氏とヨリ戻すんだと」

「え…」

「だからもう帰ってって、マジ勝手すぎて。せめて傘くらいパクってくりゃよかった…こんな雨なら」


誰に?


なんて聞かなくてもわかる。

グッと傘を持つ手に力が入った。

「都合良い時だけ呼びやがって、何なんだよ。暇だとか言って連絡して来て、散々好き勝手に言って急になかったことみたいな。人のことなんだと思ってんだよ…っ」

青い瞳が揺れて、キラキラの髪が濡れている。

「いてもいなくてもどっちでもいいんだろうな」

静かに悠が呟いた。

「あいつにとっても真菜にとっても…」

泣きそうな声で。

「俺が空気だったんだよ」
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