神様、この恋をよろしくお願いします。
「いい加減にしろよっ、その態度は何なんだ!」

あたしたちの教室とは別のところにある進路指導室、外にまで本郷先生の怒鳴る声が聞こえた。

「なんだその目付きは!俺は教師だぞ、お前の事なんかどうとでもっ」

今この中がどうなってるのかわからない、状況なんてそんなのどうでもいい、悠のお父さんが来てるかもしれないけどそんなの関係なくてガラッと勢いよくドアを開けた。

「悠…っ」

ギロッと鋭い目をした本郷先生がこっちを見た。

「…っ」

ビクッて震えた。

「宝条…、ちょうどいいお前にも言っておかないとな」

本郷先生の前には悠が立っていた。

あたしが来たところで何の助けにもならないことはわかってる。

わかってるけど…

てゆーか悠のお父さんは!?

いないんだけど!!

気付いたら隣を走ってた委員長もいなかった。

どこ行ったの!?ちょっとっ!!!

はぁっと本郷先生が息を吐いた。

「お前らはどれだけ周りに迷惑かけてるのかわかってないようだな」

静かに重く、もう一度ゆっくり息を吐いた。

「知ってるか?みかんは1つ腐り出すと周りのみかんもそれに影響されてどんどん腐って行くんだよ。だからそうならないためにも早めに捨ててやらなきゃいけない」

何それ?何を言ってるの?

ふつふつとあたしの中で嫌な感情が生まれる。

今にも吹き出そうなくらい、黒くていらない感情。

右の口角を上げた本郷先生が悠の方を見た。

「分かりやすく説明してやったんだ、分かるよな?」

…最悪。

何なの、何がわかりやすくって?

最悪!最低!

最低っ!!!

「全ッ然わかりませんっ!!!」

自分でも初めて聞いた、あたしってこんなに大きな声が出せたんだ。

「全然わからないです!そんなのわからなくてもいいです!だって悠はそんなんじゃない、悠は本当は優しいし、約束したら守ってくれるし、みんなが思ってるような人じゃない!…ちょっとうまく出来ないだけだもん、自分の思ってること言うのがちょっとうまく出来ないだけだもん…っ」

やばい、瞳が熱い。

泣いちゃう。

泣いてもどうしようもないのに涙が出ちゃいそう…っ
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