夫の一番にはなれない
そう言って、早苗さんが集めてくれたのが、來のクラスのやんちゃな男子2名だったのだ。
1度も保健室には顔を出したことがないけれど、よく午前中の授業をさぼって遅刻をしてくるから、名前も知っている生徒だった。
長野くんと常盤くん。
この2人が早苗さんとつながりがあるとは思わなかった。
「早苗さん、わざわざ集めてくれて感謝してるけど。実は長野と常盤にはもう話を聞いてるんだ」
來が申し訳なさそうにしている。
少し異様なメンバーの集まりは、いつの間にか早苗さんが指揮を執っていた。
「そうなの?じゃあ、意味なかったか。長野と常盤は本当に何か知ってることないわけ?酒井っちのこと」
「知らねーよ。俺ら、教室にあんまりいねーもん」
「そういう早苗はどうなんだよ。酒井さんと友達だったじゃん」
「クラス離れちゃったんだもん。仕方ないじゃん。あんたたちの方が同じクラスなのに、何も知らないなんてありえなくない?」
「俺らからしたら、友達なのに何も知らなかったことがあり得ないね」
仲がいいのか、悪いのか。
早苗さんと彼らは口げんかを始めてしまった。