夫の一番にはなれない



そう言って、早苗さんが集めてくれたのが、來のクラスのやんちゃな男子2名だったのだ。

1度も保健室には顔を出したことがないけれど、よく午前中の授業をさぼって遅刻をしてくるから、名前も知っている生徒だった。


長野(ちょうの)くんと常盤(ときわ)くん。

この2人が早苗さんとつながりがあるとは思わなかった。


「早苗さん、わざわざ集めてくれて感謝してるけど。実は長野と常盤にはもう話を聞いてるんだ」


來が申し訳なさそうにしている。

少し異様なメンバーの集まりは、いつの間にか早苗さんが指揮を執っていた。


「そうなの?じゃあ、意味なかったか。長野と常盤は本当に何か知ってることないわけ?酒井っちのこと」

「知らねーよ。俺ら、教室にあんまりいねーもん」

「そういう早苗はどうなんだよ。酒井さんと友達だったじゃん」

「クラス離れちゃったんだもん。仕方ないじゃん。あんたたちの方が同じクラスなのに、何も知らないなんてありえなくない?」

「俺らからしたら、友達なのに何も知らなかったことがあり得ないね」


仲がいいのか、悪いのか。

早苗さんと彼らは口げんかを始めてしまった。




< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop