夫の一番にはなれない



「お前ら、ストップ。仲がいいのは分かったから、少し落ち着いてくれ」


その場をなだめようとした來は、3人から一斉に「仲良くない!」と反論を受けた。

そんなにムキになるような場面ではないと思うのだけれど、さすがは高校生。

反応がまだまだ子供でかわいいな。


「じゃあ、俺らは教室でいろいろ監視しとけばいいんだろ?」

「そう、よろしく。先生たちもそれでいいでしょ?先生の前では絶対にぼろ出さないと思うから。こいつらに様子だけ見てもらうだけってことなら」


結局できるだけ教室にいてもらって、クラスの変化があったら、教えてもらうことになった。


ただ馬淵さんの話は伏せておいた。

まだ馬淵さんがいじめの主犯だという確証がないし、先に話したら彼らが警戒してしまうと思ったから。


來も早川先生も同じことを考えていたのか、わたしの発言に何も言わなかった。



「まかせろよ、奈那子ちゃん!気になるところがあったら、すぐに奈那子ちゃんに報告に来るから」


初めて名前を呼ばれたけれど、わたし、この子たちから“奈那子ちゃん”と呼ばれていたのか。

この子たちからしたら、“ちゃん”付けで呼ぶには年上すぎると思うのだけれど。




< 24 / 70 >

この作品をシェア

pagetop