夫の一番にはなれない
「お前ら、ストップ。仲がいいのは分かったから、少し落ち着いてくれ」
その場をなだめようとした來は、3人から一斉に「仲良くない!」と反論を受けた。
そんなにムキになるような場面ではないと思うのだけれど、さすがは高校生。
反応がまだまだ子供でかわいいな。
「じゃあ、俺らは教室でいろいろ監視しとけばいいんだろ?」
「そう、よろしく。先生たちもそれでいいでしょ?先生の前では絶対にぼろ出さないと思うから。こいつらに様子だけ見てもらうだけってことなら」
結局できるだけ教室にいてもらって、クラスの変化があったら、教えてもらうことになった。
ただ馬淵さんの話は伏せておいた。
まだ馬淵さんがいじめの主犯だという確証がないし、先に話したら彼らが警戒してしまうと思ったから。
來も早川先生も同じことを考えていたのか、わたしの発言に何も言わなかった。
「まかせろよ、奈那子ちゃん!気になるところがあったら、すぐに奈那子ちゃんに報告に来るから」
初めて名前を呼ばれたけれど、わたし、この子たちから“奈那子ちゃん”と呼ばれていたのか。
この子たちからしたら、“ちゃん”付けで呼ぶには年上すぎると思うのだけれど。