夫の一番にはなれない
きっと傷ついてる。
わたしが來を傷つけてしまった。
決して傷つけたかったわけじゃないのに、体が言うことを聞いてくれない。
きっとわたしはさみしかったんだ。
來がまだ彼女のことを忘れられていないから。
「奈那子、一緒に映画見る?」
「うん」
來は今見ていた映画を最初に戻してくれて、2人でソファーに並んだ。
でも、わたしたちの間には人1人が入れるスペースが空いている。
きっとわたしたちはどれだけ歩み寄ろうと思っても、きっとこのくらいの距離が空いてしまう。
わたしたちは一緒に映画を見ているのに、わたしたちは同じ方向を見ていない。
ねえ、來は今何を考えているの――?
わたしは來の考えていることが知りたい。
約1年一緒に暮らしてきたのに、來のことは何一つわかっていないんだとしみじみ実感させられた。