夫の一番にはなれない
デートではないことは分かっているけれど、出かけようと誘われてこんなに胸が高鳴るのはいつぶりだろう。
「でも、來疲れてるんじゃない?今日は家でのんびりしようよ」
來は休みの日も家からあまり出るタイプじゃなかった。
きっと今も無理をして、外に連れ出そうとしてくれたんだと思う。
それに、明日からも生徒たちの対応で大変になるだろうし。
休みの日くらいは、ゆっくりと体を休めてほしかった。
「じゃあ、漫画でも読むかな。奈那子も読む?」
「來が漫画って……読むんだね。読んでるところ見たことないけど」
「生徒に勧められたんだ。それでこの前全巻買ってみた」
そう言って、來はリビングの端に置いてあった段ボールを指さした。
数日前に家に届いた大きな段ボール。
その中に、來が買った漫画が入っていたとは……
「わたしも読んでみようかな。生徒の話題についていけないと困るし。最近ついていけないんだよね」
「奈那子、まだ20代じゃん。おばさんみたいなセリフ言うなよ」
「だって、本当のことなんだもの。それに、來だってわたしと2つしか変わらないじゃない」