夫の一番にはなれない



何度注意しても聞かないので、強制的に授業に戻そうとしたら――


「うっせーな!クソが!」

と、突き倒されたことがある。


彼からしたら少し押しただけなのだろうけれど、さすが高校生といえど男子の力には勝てなかった。

だから、この子たちに手を焼いている生徒もいるけれど、わたしは結構気に入っていた。





「おーい、長野も常盤もまたここにいたのか。授業始まるぞ」


授業の予冷が鳴る少し前に、來がいつものように保健室をのぞきにきた。

そこで2人がいることを見つけると、教科書を廊下の先に向けて、保健室を出るように催促している。


「滝川せんせー。俺たち、体調が悪いので、次の授業休みまーす」

「全然体調が悪そうに見えないから却下。ほら、早く」

「滝川っちひどーい。俺らが奈那子ちゃんといるからって……ねえ、奈那子ちゃん」

「ダメよ、常盤くん。授業に出たくなくても出ないと」

「えー、奈那子ちゃんまで!」


先生2人に授業に出るように言われ、彼ら2人は渋々立ち上がった。

不満を言いつつ、最終的には従っちゃうところが、彼らの憎めないところだ。




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