夫の一番にはなれない
「どうしてって、男と食事するって黙って行かせる夫がどこにいるんだよ。俺たちの仲を疑われるだろ」
少しだけ期待していたのかもしれない。
來が心配で来てくれたのかもしれないって。
でも、その期待は一瞬で崩れ去っていった。
「あのさ、さっき何受け取ってた?」
「え?」
「さっき話してた先生から何か受け取ってたじゃん」
「あー、名刺。今度連絡することになってるから」
「は?連絡ってどういうことだよ」
來は少しイラついているようにも見えた。
何に怒っているのかはわからなかったけれど、わたしが怒らせてしまったのかもしれないと少し身構えてしまう。
「実は養護教諭の先生を探してるんだって。それでやってくれそうな知り合いいないかって聞かれたの。もしいたら連絡することになってるんだ」
「それだったら、学校に連絡すればいいじゃないか。わざわざ個人の携帯にしなくても」
「それは……」
確かにそうだ。
わたしだって最初はそうしようとしたのだから。