夫の一番にはなれない
來の変化には戸惑いを隠せないものの、その一方で喜びも感じていた。
來がわたしに少しずつでも興味を持ってくれているように感じていたから。
だから、わたしは調子に乗ってしまったのかもしれない。
「ねえ、來。明日からお弁当作ろうか?」
今の來ならきっと受け入れてくれると自負していたからだろうか。
まさか、眉間にしわを寄せた彼と目が合うなんて思わなかった。
「いや、いい。いつも通り学食かコンビニで弁当買うから」
今のタイミングだったら、もう少し近づけるかと思ったのに。
來はまた離れていく。
來は「これ買ってきた」とか「洗濯物干しておいた」とかわたしのために動いてくれるから、わたしだって來のために何かしたかっただけなのに。
どうしてわたしが何かをしようとするたびに、来は否定するんだろう。
それだけがいくら考えてもわからなかった。
本当に來のことは分からないことだらけ。
表面的な來のことは知れても、肝心の中身はあまり知らないんだなあと痛感した。