身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
胸をざわめかせる私を、嘉月さんの瞳がおもむろに捉える。
「君と話していたらわかるんじゃないかと思ってね。そうだな……よければ、今度花見でもしないか? 昴くんを連れてきてもいいから」
「えっ⁉」
予想外のお誘いに、私はあからさまに動揺した。昴も一緒に嘉月さんと会うなんて、実現しそうな日が来るとは思わなかったから。
どう応えるべきか悩んでどぎまぎしていると、わずかに眉根を寄せた彼と目が合う。
「迷惑?」
「っ、いえ!」
本人は無意識なのだろうが、やっぱり威圧感があってつい首を横に振ってしまった。
決して迷惑ではないけれど、もう関わらないと決めたのにまた繋がりを持っていいのだろうか。そもそも、嘉月さんにお相手の女性がいるかもしれない。
「あの、でも……青來さんには恋人はいないのですか? 結婚は?」
「そういう相手はいないよ。俺がこんなに執着する女性は君くらいだ」
自嘲するような笑みを浮かべる彼のひと言に、簡単にドキッとさせられる。同時に、恋人がいないとわかって正直ほっとする自分もいた。
嘉月さんは「あ、変な意味じゃないぞ」とすぐに補足した。私は思わず小さな笑いをこぼし、考えを巡らせる。