身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました

 今日は姉がなっちゃんを連れてママ友会をしているので、ふたり以外の男性陣と夕食を済ませた。

 父はすでにほろ酔いでまったりしていて、一誠さんは昴と遊んでくれている。その隙に、お弁当の下ごしらえをしているところ。

 ……なんか張り切りすぎかな。急にお弁当なんて作ってこられても引く? でも、お花見と言えばお弁当だよね? 子供もいるんだし。

 ぐるぐると考えを巡らせつつきんぴらごぼうを炒めていると、一誠さんが自分のコップを片手にこちらにやってくる。

 冷蔵庫から缶ビールを取り出す彼は、まだ料理している私と、調理台の上に置かれたお弁当のおかずカップを見て首をかしげる。


「あれ、お弁当の準備? 明日は日曜休みだよね」
「うん、昴とお花見しようと思って」
「いいね、俺たちも予定が合えば一緒に行きたかった。明日は俺の実家に行くから。でも、お義父さんは一緒じゃなくていいの?」


 ギクリとして一瞬手が止まった。まだ里実さん以外誰にも嘉月さんと会うことは言っていないんだよね……なんとなく気まずくて。

 再び手を動かしながら、なんとか平静を装って答える。
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