身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
暖かい日差しの中、昴がつたない言葉で一生懸命話す保育園での出来事を聞きながらお腹を満たしていく。
嘉月さんは「全部俺の好みの味だ」と感激していたけれど、もちろんあなたの好みは知っているからね。から揚げは片栗粉ではなく小麦粉で揚げたし、卵焼きは甘くしてきた。
いつの間にか昴は自分から嘉月さんに話しかけるくらいになっていて、ふたりを見ていると食べ慣れた自分の料理も一段と美味しく感じた。
お腹がいっぱいになって少し食休みした後、昴は嘉月さんが持ってきてくれたシャボン玉で遊び始めた。最近セーライは本格的に幼児向けの玩具も販売するようになってきたらしく、これも商品のひとつなのだとか。
いろいろな形の道具でシャボン玉を作る昴を眺めていると、リラックスした様子の嘉月さんが口を開く。
「こうして都さんといると気持ちが落ち着く。少ししか会っていないとは思えないような、不思議な安心感があるんだ」
なにげなく口にされた言葉にドキリとする。記憶はなくても、感覚的に覚えているものなんだろうか。
少々緊張しつつ、一番気になっていることを問いかけてみる。