身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
「ママ、かーくんすき?」
呑気に他の動物を弄っているとふいにそう問いかけられ、一瞬ドキッとした。正直に答えてもなにも問題ないよね?と自問自答し、口角を上げて頷く。
「うん。大好きだよ」
「ぼくんとこは?」
くりっとした瞳で見つめられると、愛おしさがこれでもかというくらい溢れ出してくる。「こーんくらい好き!」と言って小さな身体をぎゅーっと抱きしめると、嬉しそうな笑い声が響いた。
やっぱり、この幸せをひとり占めするのはもったいない。嘉月さんにも味わわせてあげたいよ。
愛しいわが子とじゃれ合っているうちに、気持ちは三人で暮らしたいという方に大きく傾いていく。れっきとした家族になるためにやれるだけのことはしようと、私は密かに決意を固めていた。