身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
「違っていたら申し訳ないんですが、以前もここにいらしたことあります? 三年くらい前に」
「ああ、よく覚えていらっしゃいましたね。あの頃は社長についていたので、彼に頼まれてでしたが」
なるほど、伯父様にも頼まれていたのか。確かに、当時は彼もヱモリを贔屓にしてくれていたのよね……懐かしいな。少しセンチメンタルな気分になる。
同時に、若いのに重役の秘書をしている鈴加さんはとてもデキる人なんだなと尊敬しながら、「また来てくださってありがとうございます」とお礼を言った。
そしてコーヒーを用意しようとした時、彼女が神妙な顔で口を開く。
「あの、失礼を承知でお聞きしますが……副社長との復縁を考えていらっしゃったりしますか?」
「へっ!?」
急に直球を投げられて、思わずまぬけな声がこぼれた。
え……っと、秘書さんにこんなプライベートな話をしていいもの? というか、どうして私たちが付き合っていたことを知っているんだろう。
あからさまにどぎまぎする私に、鈴加さんは慌てて両手を合わせる。
「ごめんなさい! 突然こんな話をされても困りますよね。芳枝さんがあなたと副社長が再会したのではないかと心配していたので、ご確認させていただきたくて」