身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
〝パパなんていらない〟と拒否されたらどうしようと若干焦りつつも、これならどうだ!ときっぱり告げる。
「そのパパが、かーくんなの」
嘉月さんの名前を出した途端、ぴくっと反応した昴は顔を上げた。
もう一度よくわかるように説明すると、彼の瞳が輝きだしたように見える。
「かーくんが、パパ……」
「そう。パパも昴が好きだから、ずっと一緒にいたいって。おはようって言う時も、おやすみする時も」
これから三人で一緒に暮らしたいんだということを、昴にもわかるように伝える。いつの間にか背筋がピンと伸びている彼は、澄んだ瞳でしばらく私を見上げてから口を開く。
「……どうぶちゅえん、いきたい」
今の話とは特に関係なさそうなひと言がぽつりとこぼれ、私は脱力して苦笑した。パパと一緒に暮らせるということより、動物園の方がベクトルが大きいのか、と。
「そ、そんなに昨日楽しかっ──」
「ゆーえんちと、おさかないっぱいのとこ、いくの。あとねー、かたうるまする!」
小さな口から次々に言葉が飛び出して、私もぱっと表情を輝かせた。