身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
嘉月さんはお母様たちと話をして、会う約束を取りつけてくれているようだ。
浮気疑惑の件については、きちんと説明すれば嘉月さんならきっと私を信じてくれるはず。お母様にも納得してもらえるまで説得を続けて、なんとか解決させたい。
その日にちが決まる前に、私と昴は彼のマンションでお泊まりをすることにした。一緒に暮らすために、新しい住まいに少しでも昴に慣れてもらおうという目的で。
ゴールデンウィークの最終日前日、夕方に仕事を終えてから、迎えに来てくれた嘉月さんの車に乗ってマンションに向かった。初めて入るホテルのような高層マンションに、昴は目を輝かせてキョロキョロしている。
彼の部屋でも「うわぁ」と声を上げていろいろなものに興味を示しながら、窓に近づくとそこから広がる外の景色に夢中になっていた。
「すごーい! おうち、ちっちゃい!」
「じーじたちの家も見えるかもね」
「ああ。あの辺かな」
窓に張りつく昴を挟んで、私たちもしばし夕日に染まる街を眺める。ここから見える景色は変わっていないのに、嘉月さんとふたりの時とはまた違う風に見えて、なんだか不思議。