身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
意外な弱点を発見してクスッと笑みをこぼすと、彼女は決まりが悪そうにコーヒーを啜って口を開く。
「見苦しいマネしてる自分が虚しくなってきただけ。霜平さんも正直になりなさいよ。副社長への罪悪感を消したいんでしょう」
私はキョトンとして、今の言葉はどういうことかと首をかしげる。
「罪悪感?」
「この人も、都さんのことが好きだったのよ」
鈴加さんが、静かにコーヒーに口をつける朝陽くんを顎で示した。私は数秒かけて意味を理解し、「えぇぇっ!?」と驚愕の声を上げる。
朝陽くんも私を好きだった? そんな気があるような素振りしていたっけ!?
「鈴加さんの言う通り。俺も君に惹かれてた」
半信半疑の私に、朝陽くんはさらっと告げた。ほろ甘い瞳で見上げられ、ついドキッとしてしまう。
「といっても、だいぶ前に諦めはついてたけど」と補足して、彼は口角を上げつつも伏し目がちになっていく。
「最初に紹介された時、やばいと思ったんだ。ひと目惚れだったんだろうね。ふたりが別れた後、俺が代わりに支えてあげたいって何度も考えた。かづ兄がこのまま記憶を取り戻さなければいいのにって、最低なことまで」