身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました

「はぁ、楽しかった〜。朝陽くん本当に陽キャで、すぐ打ち解けられてよかった」
「……都、俺とふたりのときよりよく笑ってた気がする」


 運転席に座った彼がやや不満そうに言うので、私は一瞬ポカンとしたものの慌てて否定する。


「そんなことないですよ!」
「何度も席が隣になって仲よくなってるクラスメイト、みたいな雰囲気を醸し出してた」
「妙に具体的!」


 ぶつぶつと呟く彼に思わずツッコんだ。

 一応同い年だからそういうノリで話していたかもしれないけれど、嘉月さんと一緒にいるときの楽しさとはまた別物だ。ドキドキ感がない分、気楽になっていたし……。

 そう考えていて、ふとひとつの可能性が浮かぶ。


「もしかして、ヤキモチ焼いてます?」


 さっき不機嫌そうだったのもそうだったりして、と思いなにげなく問いかけると、彼はぴくりと反応を示した。

 でも、嘉月さんのように何事にも動じなさそうな人が嫉妬するだろうか。あまり自信はなく「なんて、違うよね」と軽く笑って撤回しようとした、そのとき。

 シートベルトをせずこちらに身を乗り出してきた彼によって視界が遮られ、鼻先が触れ合う。ほぼ同時に、唇も。
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