身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
またしても突然奪われたキスに目を白黒させていると、頬に手を当てられて顔が固定される。よそ見できない私の瞳に映るのは、力強さの中に色気を湛えた〝雄〟の顔。
「ああ、妬いてるよ。君の目に俺しか映らせたくないくらいに」
予想以上に独占欲を露わにする彼に、心臓が大きく飛び跳ねた。
嘉月さんはいつも仕事のことを考えている人。もちろん私を大切にしてくれているのは伝わっていたけれど、女性にそれほど執着するタイプではないだろうと勝手に思っていた。
そんな彼が、私がほかの人と楽しそうに話していただけで嫉妬しているなんて、嬉しく感じてしまう。
ドキドキしてなにも言えなくなっている間に、再び唇が寄せられる。どんどん深くなっていくキスに頭がふわふわしてきて、無意識に〝もっと〟と求めるように私も舌を絡ませていた。
息が上がってきたところで唇が離され、お互いに甘い吐息がこぼれる。とろんとした瞳で見つめると、嘉月さんは余裕のなさそうな顔で私を抱きしめた。
「このまま離したくない。今すぐ君の全部を俺のものにしたい」
情欲の滲む声が鼓膜をくすぐる。私の奥のほうでなにか熱いものが疼いていて、もどかしくてたまらない。