身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
スーツの襟をきゅっと握り、恥を忍んで「……してください」と呟く。
「私も、離れたくないから」
素直な気持ちを言葉にして、嘉月さんとそれぞれの意思を確かめるように見つめ合う。決意した表情に変わった彼は、一度私の髪を撫でて運転席に座り直し、車を発進させた。
本来なら、この後は私の家に送ってもらうはずだった。しかし、向かったのは嘉月さんのマンション。
三十五階建ての高層階に住む彼の部屋はとびきり夜景が綺麗で、インテリアもモダンな印象で大人の男性らしさを存分に感じた……と思う。
記憶が曖昧なのは、初めてお邪魔したにもかかわらず、真っ先に飛び込んだのが寝室のベッドの上だったから。
急くように私の服を乱し、あらゆる場所に唇や舌を這わす彼は、まるで渇望した動物のようだった。いつも落ち着いていてデートのときも控えめに触れる彼が、本能のままに私を求めている姿が官能的すぎる。
けれど決して乱暴にはせず、愛でるような手つきで肌に触れる。ブラのホックをはずされ、締めつけがなくなった胸をやんわり包み込まれただけで、全身が甘く痺れた。
「やっ、ぁ……嘉月さ……」
「都、すごく綺麗」
無防備な私を見下ろして囁く声も、悦に入ったような微笑みも、とにかく彼の全部が媚薬になる。