身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
眉をひそめる朝陽くんを見て、どうしようかと迷う。このまま隠していても心配させるだけだし、いずれわかることだから言ってしまってもいいかな。
私はためらいつつも口を開く。
「たぶん、悪い病気とかではないんだ。これから産婦人科に行ってはっきりさせるつもりなんだけど」
おそらく〝産婦人科〟という単語に反応してポカンとする彼に、照れ笑いを浮かべる。
「妊娠、してるかもしれなくて。そのせいかな」
朝陽くんの瞳がみるみる大きくなり、「マジ!?」と声を上げた。そしてほっとしたようにため息を吐き出し、表情をほころばせる。
「そっか~、そういうことだったか。おめでとう」
「ありがとう。まだ確定ではないけどね。あと、嘉月さんにはこれから教えるから内緒で」
「了解」
まだ呆気に取られているような朝陽くんは、「かづ兄がパパにねぇ……」と感慨深そうに呟いた。
ところが、ふいにその表情に影が落ちたような気がして、私は小首をかしげる。しばらくして、彼はしんみりとした口調で語りだした。