身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
「どうして嘉月が……あなたがいなければ、こんなことには……」
彼女の悲痛な言葉が胸に突き刺さる。私は涙を堪えて頭を下げ、「申し訳ありません……!」と謝るしかなかった。
しかし、伯父様が咎めるように「芳枝」と彼女の名前を呼ぶ。
「そんなふうに言うんじゃない。事故は都さんのせいじゃなく、看板の点検を怠っていた店の責任だろう」
冷静かつ、やや厳しい口調でそう言った彼は、打ちひしがれるお母様をソファに座らせる。そして、私の背にそっと手を当てて待合室の外へ出るよう促した。
伯父様は私と向き合い、申し訳なさそうに謝る。
「すまない、都さん。芳枝は気が動転しているんだ。また君に当たってしまうかもしれないから、今日は帰った方がいい」
「でも……!」
「嘉月が心配なのはわかる。でも、意識が戻るのは何日も経ってからかもしれない。このままずっとここにいるわけにはいかないだろう」
伯父様の意見はもっともで、私は押し黙った。明日は休みだし、また出直したほうがいいかもしれない。お母様も、今は私の顔も見ていたくないだろう。
肩を落として唇を噛みしめる私に、彼は「意識が戻ったらすぐに連絡するから」と優しく声をかけた。