身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
「真実がどうであれ、事業の方も嘉月も、こんな状態で結婚話を進めるのは現実的ではない。婚約はまだ公に発表する前だし、今なら混乱を免れられる。この話は白紙に戻させてもらえないだろうか」
彼に「本当に申し訳ない」と深々と頭を下げられ、絶望感で一杯になった。
嘉月さんとの未来を照らす明かりが、どんどん弱まっていく。私は暗闇で立ち止まったような状態で、なにも返すことができなかった。
私はその日、両親と姉に嘉月さんの容体やお母様から言われたこと、妊娠している事実もすべて打ち明けた。
皆ものすごい驚きようで、妊娠はとてもめでたいが素直に喜べない現状に苦悶の表情を浮かべている。父は、過失を認めない店とセーライ側との板挟み状態で、ひらすらため息をついている。
「青來社長がお怒りなのはもっともだ。事故は店の責任とはいえ、ウチも素知らぬふりはできない」
「でも、都たちはちゃんと愛し合ってるのよ? 事業はもう関係ないじゃない」
「このままでは裁判になりかねないんだ。そんな状態の家同士がうまくいくと思うか?」
暗鬱とした父に投げかけられ、姉は悔しそうに口をつぐんだ。