【奏】きみにとどけ
届かぬ想い
君の恋
「寒くなってきたな…。」
夜の雑踏を一人で歩きながら呟いていた。
今日も切なそうな顔をしていた。
だから…
笑顔を見たいって思うんだ。
大きな目を
なくなるまで笑う…あの笑顔を…。
白い息を吐きながら
夜空を見上げると
浮かんでくるのは―――…。
野々瀬 彩心 -ノノセ アコ-
俺の隣の席に座ってる奴。
1年の時も同じクラスだった。
その時はただのクラスメイトで
何とも思った事もなければ
ちょっと口煩い奴だなぁぐらいだった。
ハッキリ言うけど
アッサリしてるから
文句言いつつも
何だかんだで男にも受けがいい。
今もそれは変わらないけど
男とそんなに親密って訳でもねぇんだよな。
どっちかと言うと
必要以上にはあんまり男と会話しねぇな…。
女友達が多くて…。
2年になって、別のクラスになって
その時も何も思わなかった。
だから…気にした事もなかったんだ。
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