【奏】きみにとどけ
なんて…
そんな事、思える筈もなく
小さな白い手を
一度でいいから握りたかった、とか
好きって言わなくて良かったな…とか
言わなかったから
これからも変わらずに
友達でいられるだろう、とか
そんな事ばかり考える。
「あぁ情けねぇな」
道端に落ちていた缶を思いっきり蹴り飛ばした。
カランッカラ…コロコロ
缶の音だけが虚しく響く。
俺の虚しい心と同じように
空っぽになった中身のように
空を見上げて呟いた。
「俺…友達
ちゃんと出来るのかよ」
家に着いてから
俺は携帯のストラップを外した。
お揃いのをつけたからって
ちょっと有頂天になってたけど
別に深い意味は野々瀬にはない。
近づいても遠くなって
今はもう…届かない。
片想いはどれだけ特別でも
結局は片想い。
両想いまでは遠い。
追いかけて追いかけて
届きそうで届かない。
両想いになれる人間なんて
きっとほんの一握りで
俺はそれに入れなかっただけ。
―――なのに、
野々瀬の笑顔ばかり浮かぶんだ。
「重症だな、俺」
自嘲気味に笑い呟いた言葉が
虚しく部屋に響く。
そんな事、思える筈もなく
小さな白い手を
一度でいいから握りたかった、とか
好きって言わなくて良かったな…とか
言わなかったから
これからも変わらずに
友達でいられるだろう、とか
そんな事ばかり考える。
「あぁ情けねぇな」
道端に落ちていた缶を思いっきり蹴り飛ばした。
カランッカラ…コロコロ
缶の音だけが虚しく響く。
俺の虚しい心と同じように
空っぽになった中身のように
空を見上げて呟いた。
「俺…友達
ちゃんと出来るのかよ」
家に着いてから
俺は携帯のストラップを外した。
お揃いのをつけたからって
ちょっと有頂天になってたけど
別に深い意味は野々瀬にはない。
近づいても遠くなって
今はもう…届かない。
片想いはどれだけ特別でも
結局は片想い。
両想いまでは遠い。
追いかけて追いかけて
届きそうで届かない。
両想いになれる人間なんて
きっとほんの一握りで
俺はそれに入れなかっただけ。
―――なのに、
野々瀬の笑顔ばかり浮かぶんだ。
「重症だな、俺」
自嘲気味に笑い呟いた言葉が
虚しく部屋に響く。