【奏】きみにとどけ

『ちょっといいかな?』



「おう、何だ?」



慌てて携帯を閉じ


野々瀬に視線を戻すけど…





何で眉間に皺寄せてるんだ?



何で不機嫌なんだよ?



さっき、笑顔で

おはよ

って言ってたよな?




会話中断させたままだったからか?





『教室じゃなんだから』



「えっ?

もうチャイム鳴るぞ?」



『いいから!!!

着いてきて』




久々に見たかも―――…。





はっきり強気で言う野々瀬。




でも…何、怒ってんだ?





野々瀬が何も言わず

廊下を歩いて行くから


俺はそれに従った。




「望に野々瀬
おはよ」



「あぁおはよ」



『おはよ

凛に野上君』



「って、のの

どこ行くの?」



『サボり』



「そっか」



えっ…


サボり?!



ってか恩田も何、呑気に

そっかとか笑顔で言ってんだ?



そのまま、歩みを進める野々瀬を追いかける




「おい、野々瀬

どこまで行くんだよ?」




『ちょっとそこまで』



返事になってねぇよ。



「ってかサボりって何だよ?」



『だから、サボりだよ』



何だ~?


この訳わかんねぇ会話は…。




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