兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
何とか意識を保てるようになった私は、洗面室から自力でリビングへ向かい、母の朝食をつつく。

いつものようにトマトを私の皿に移そうとする蓮人の手を母がたたく。

「こら、今日くらいちゃんと食べなさい。」
そう言って、手を離すと蓮人は父の皿にトマトを入れる。
何も気づかずに、新聞を見ながら食事しようとしていた父がそのトマトを食べて、母は父を叱り始める。

「ふふっ」
そんな家族の光景がなんだかおかしくて、笑ってしまう私。
「なんだ?」
「なによ」
「どうした?」
笑い始めた私に、みんな私の方に視線を向けて不思議そうな顔をする。
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