兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「おい」
低く冷たい声に私の体がビクンと跳ね上がる。
その声の方に反射的に視線を向けるとそこには蓮人くらいの背の高い男が立っていた。

「やめろよ、その手。」
がっちりとサラリーマンの手を握っている。

そのサラリーマンに私は見おぼえがあった。
毎朝見る顔だ。

もしかして・・・そんな予感がしながら私はその男とサラリーマンにくぎ付けになる。

「次の駅で降りろ。それまで手、あげてろ。」
サラリーマンは私とあまり身長が変わらず、私たちよりも頭ひとつ分以上背の高い男は、明らかに威圧感を出しながらサラリーマンを見下ろしている。
< 117 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop