兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「すみませんでした。」
サラリーマンが周囲の目にも焦ってうつむいても、男は手を離さない。
「謝るの、俺じゃないだろ。」
男はそう言って私の方に視線を向ける。
「ダイジョブか?」
ぶっきらぼうな言葉の奥に、熱いものを感じる不思議な人。

どこか・・・蓮人に似ている・・。

「はい」
何とか返事をする私。
「あんたは降りなくていいから。」
「え?」
「次の駅で降りなくていいから。ややこしくなるから。」
「・・・でも。」
「大丈夫、二度とやらないよな?あ?」
サラリーマンの手をグイっとひねりあげながら言う男にサラリーマンは私の方を見て平謝り状態だった。
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