兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
蓮人は恥ずかしさからか視線をわざと合わせないようにしている。

「おはよう」
その時、急に近くから声をかけられて、私は振り向く。

「あ・・・」
そこに立っていたのは背の高い昨日の男。

「昨日はありがとうございました。」
私はその男に向かって頭を深く下げる。
「どういたしまして。俺、あぁいうの黙っていられないたちでさ。騒ぎ、大きくしてごめんな。」
男の言葉に首を横に振る私。
「君、大学生でしょ?〇〇大学。」
「え?」
少し私が後ずさりすると、男はかがんで私と視線を合わせるように覗き込む。
「俺も同じ大学。」
「え?」
驚きながら男に視線を送る私の手に持つ携帯電話が新しいメールの着信を知らせるバイブをしていることに、私はその時気づかなかった。
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