兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「怖いっ!」
思わず出した声に開いては手を握る力を一瞬で強める。
「痛いっ・・・」
私の声など気にせずに自分の思う方向に手をひいて行こうとするその学生。

怖すぎて、足をふんばっても簡単に強い力にひかれてしまう。

どんどんと恐怖は大きくなるけれど、あまり声を出すと、逆上されることが前にもあった。
だからこそこういう時は切ない目で助けを求めながら、誰かがこの場所から連れ去ってくれることを願うしかない。

でも、たまたま私の受けている講義が早く終わってしまったタイミング。
他の学生が極端に少ない。

辺りをきょろきょろと見渡しているけれど、誰も助けてくれそうな学生はいない。
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