兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「これ食え」
何かと私を励まそうとしてくれている修平はいつも以上に私を笑わせようとしてくれる。
それでもうまく笑えずにいると、修平はただ黙って隣に座っていてくれた。

「どうして?」
「ん?」
「どうしてそんなに優しいの?」
言葉にしたらなぜか泣けてきて、私は大学の中庭にあるベンチで泣き出す始末。

「好きだからに決まってんだろ。」
そう言って私の方を見て笑う修平は、そのあと、私の涙を見ないふりしてくれる。

今までいろいろな人に告白されてきた。
でもいつだって強引で、想いをぶつけられることばかりだった私にとって、心地よい雰囲気を作ってくれて、無理やり気持ちを押し付けずにいてくれる修平という存在は不思議で、よく理解できない。
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