兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「うん・・・」
表情の筋肉がひきつるのを感じながら、私は無理やり微笑む。

「そのプリン、おいしいですよね。俺優莉に食べてほしくて買いに来たんです。」
修平が蓮人の前にあったプリンを手に取る。

「蓮人もそのプリン、好きなんですよ?」
蓮人と呼び捨てにする女性に、ピリッと心が痛む。
「そうなんですか?」
蓮人、甘いものは私と違ってあまり得意じゃないと言っていたのに。
昔は好きだったのに、徐々に甘いものは私専門だったのに。

「あっ、最後でしたね。俺たち、この先のコンビニで帰るんで、お兄さんどうぞ。」
修平は持っていたプリンを蓮人の手に渡す。

「いや、これは優莉に。」
久しぶりに蓮人に名前を呼ばれて、ピリッと痛んだ心がずきずきと痛み始める。
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