兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
「何か飲むか?」
優しい声。
久しぶりに感じる蓮人のぬくもり。

「・・・オレンジジュース・・・」
私の言葉にふっと優しく微笑むその顔に、熱が高いからなのか、それとも懐かしすぎでせつないからか涙が溢れる。

「了解。持ってくる。待ってろ。」
部屋から出ていく蓮人の姿に、私は思わず手を伸ばす。

今を逃したらもう二度と会えないような錯覚に陥って、慌てる。

だめ・・・行かないで・・・

手を伸ばしても届かない距離に私は全くいうことをきかない体を動かして、蓮人を追いかけようとする。
< 203 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop