兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
蓮人は私の涙に気づかないふりをしながら、片手で私の手を握り、もう片方の手で私の額を撫で続けてくれた。

その心地よさにいつの間にか泣きながら眠ってしまった私。

でも、もう一度目を覚ましても蓮人は変わらず同じように私の手を握っていてくれた。


「おはよう」
「・・・おはよう」
なぜか病院の雰囲気がそうさせているのか、今日は素直にいられる私。
蓮人に対して、何年もぬぐえなかった、勝手に自分で作り出してしまう壁が、今日はない。

そんな気力もないからかもしれないけれど、私が違うからか、蓮人も昔に戻ったように優しい。

そして、距離が近い。
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