兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
口に酸素マスクをつけられている私。
それでも蓮人は私の言った言葉をちゃんと聞き取り、力なく微笑む。

「ごめんな・・・」
自分を責める蓮人。
自分自身の手をギュッと握りしめて、すぐに蓮人は私から視線を外す。

いつだってそらすことなく私をまっすぐに見つめてくれる蓮人。

私と距離をとろうとしていたあの日以来だ。
こうして視線をそらされるのは。

「お願い・・・許して・・・」
私は口にあてていた酸素マスクを外す。
「優莉っ」
慌てて蓮人が私の手から酸素マスクを取り上げる。
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