兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
少し座席を倒して体に負担がないようにしてくれている。
「寒くないか?」
「うん」
ブレーキをかける時も負担がないようにかなり気遣ってくれているのが分かる。

どんな顔をしていいかわからなくて、窓の外を見ていると、蓮人が私の手を握ってきた。

昔はこうしてよく手をつないだ。
でも物心ついてからはつないでない。

「やっぱり寒いか?」
少し冷たい私の手。
それは、緊張しているからだ。
蓮人はそれを知ってか知らずか、私の膝に後部座席から自分の上着を取り、かけると、車内の温度を調節してくれた。

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